湯を沸かすほどの熱い愛

私がこの映画の中で好きなシーンは、安澄がいじめで体操服を隠された翌日、辛い気持ちを抱えながらも登校し、ホームルームで「体操服を返してください」と訴えるシーンです。

このシーンで安澄は、双葉からプレゼントされた新しい下着を着ていました。双葉がこの下着をプレゼントするときに「大事な時に、ちゃんとした下着付けてないと恥ずかしいよ」と言うのですが、いじめられていないマジョリティ側の人間からすれば、『大事な時』として思い浮かぶのは、別のシチュエーションではないでしょうか。

これは、心理学やコーチングで【スコトーマ】と呼ばれていますが、人間は自分が見たいものしか見えないように、見たくないものは自分の中から消し去る傾向にあります。

安澄はこのシーンで、この【スコトーマ】としっかりと向き合い、双葉からプレゼントされた下着で、不条理に打ち勝とうとし、自身の壁を超えたのです。双葉の『湯を沸かすほどの熱い愛』が安澄に力を与えたのです。

自分に対しても、愛する人に対しても、死ぬまで熱い自分でいるためには、不条理を受容する力が必要です。多様性という言葉に逃げすぎていては、いつまでも生きづらいままです。

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